「夏越の大祓」を初めて体験してみる

夏越の大祓について、最近いろいろと話を聞く機会があったので、是非とも体験してみたいと思い、埼玉県蕨市の和楽備(わらび)神社で行われる神事に初めて参列することにしました。大祓の数日前に、神社へ人形(ひとがた)をもらいに行きました。人形というのは、文字通り人の形をした紙です。夏越の大祓では、人形に氏名と生年月日を書き、半年間の罪や穢れが人形に移るように人形で体を撫でて、息を吹きかけます。そして人形を初穂料とともに神社へ納めてお祓いをしてもらいます。
私は人形をいったん自宅へ持ち帰り、大祓の当日に神社へ持って行くことにしました。

和楽備神社へ足を運んだのは、お正月以来です。約半年ぶりに訪れた神社でまず目を引いたのは、藍色の地に白抜きの文字で「夏越の大祓」と書かれた幟です。見た目が涼しそうな感じで、高温多湿の時期にふさわしい演出だと思いました。
社務所で人形を受け取ると、今度はユニークな形の絵馬納め所が目につきました。過去に参拝したときにはなかったものです。屋根と5本の柱から成る簡素な建物に、絵馬が壁のようにびっしりと並んでいました。
さらに市役所通りに面した出入り口には、由緒と境内案内と年中行事の案内がありました。こちらも初めて見るものです。主な施設について、写真と詳しい解説をつけているところがよいと思います。年中行事の写真も掲示されていました。
和楽備神社は明治時代に近隣の神社を合祀して現在の形になりました。近年は合祀100周年記念の境内整備が大々的に行われていましたが、境内案内や絵馬納め所から、整備が一段落したことが見て取れました。

夏越の大祓の当日は、大祓式の1時間ほど前に神社へ行きました。人形を初穂料とともに社務所へ納めると、御札と御守りが配られました。御守りは茅の輪の形をしていて、部屋に飾ればちょっとしたインテリアになりそうです。
人形を収めた後は、大祓式まで時間があったので、拝殿の右側へ行ってみることにしました。この一帯には、古い石碑や祠がたくさん並んでいます。末社の浅間神社や榛名神社、小御岳神社、木曾御嶽三山の碑などからは、山岳信仰が盛んだったことがうかがえます。また「菓祖神」と刻まれた大きな石碑は、お菓子の祖神「田道間守」を祀っていてユニークだと思います。

古い石碑や祠を眺めているうちに、拝殿の正面にだんだん多くの人が集まってきたので、私もそこへ行くことにしました。そして大祓式が始まる直前に、細かく刻んだ紙が入った封筒と、「茅の輪くぐりのうた」と称した和歌が書かれた紙を渡されました。いよいよ大祓式です。
初めに全体の流れを説明した後、神職が拝殿の前で大祓詞(おおはらえことば)を奏上しました。次に2名の神職が、やはり拝殿の前で麻を切ります。
その後一般の参列者は、あらかじめ渡された、細かく刻んだ紙を体に撒いてお清めをしました。細かく刻んだ紙は切麻(きりぬさ)といって、初めに体の左側に撒き、次に右側、最後にもう一度左側に撒きます。
最後は茅の輪くぐりです。神職・氏子・一般の参列者の順に並び、「茅の輪くぐりのうた」を唱えながら、大鳥居の傍に備え付けられた茅の輪をくぐりました。茅の輪をくぐるときは、まず左からくぐり、次に右からくぐり、最後にまた左からと、数字の8を描くようにくぐり抜けます。輪をくぐるたびに、手前で一礼します。左・右・左という順番は、切麻でのお清めと同じです。
茅の輪くぐりの後は、参列者が各自で拝殿にお参りしてお開きとなりました。境内の整備によりリフレッシュした和楽備神社で半年間の穢れを清めて、気分がリフレッシュされたように思います。夏越の大祓のおかげで、1年の後半をよりよく過ごせるのではないかと期待が持てます。

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